「おい!誰だテメェ!!離せっ!!!」

「おれはエース。弟が世話になってるな!」

「……エース?弟?

 ってことはあれか?ルフィの…。

 ……………。

 えぇぇぇえええええ!?!?!?!?





威勢のいいお嬢さんはと名乗った。

スモーカーから逃げる彼女の腰を抱き寄せた時は暴れたものの

おれの言葉を理解した瞬間、目が飛び出すんじゃないかってぐらい驚き





「そーか!あんたがエースか!!

 前にマルコから“威勢のいい奴が入った”って聞いてたよ!

 あっはは!まさかこんな所で会うとは!!

 しかもルフィの兄さんか!縁とは不思議なものだな!!」





そう言いながら瞳を輝かせ眩しい笑顔を見せてくれた。

今腕の中にいるか細いが“鷹の子”とはにわかに信じ難かったが

先程の戦闘を思い出すと信じられずにはいられない。

マルコがいつかの話をしてくれた事とも一致している。







くるくる変わる表情。

嫌味のない男言葉。

暖かい 笑顔…。







あの時のマルコが妙に穏やかな顔をしていた理由も

今ならわかる。







「あっ!おいエース!!ルフィいたぞ!!

 皆もいるし!!」





言葉と同時におれの腕からするりと抜け出し

ルフィの元へいくをみて生まれた小さな痛みを押し殺す。

会って数分だというのに

どうしてはこんなにもおれを惹きつけるのか。





「どけっ!!」

「!?どわっ!!」

「“鷹の子”は捕獲した。お前達下がってろ!!

 “ホワイト・ブロー”!!!」

「“陽炎”!!!」





ボウンと出たスモーカーの煙におれの炎がぶつかって消える。

おいおいおい!

勝手に捕まってんじゃねーぞ!!





「……!?てめェか。」





を脇に抱えたまま立ち止まったスモーカーの前に

おれは体を炎にしてルフィを背にして入り人に姿を戻す。

いつでも攻撃を仕掛けれるように左腕は前にかざしたままだ。





「お前は“煙”だろうがおれは“火”だ。

 おれとお前じゃ勝負はつかねェよ。」





そう言いながらちらりとを見ると

安心したかのような表情をみせた。

たったそれだけの事なのに少し気持ちが高ぶるおれをオヤジは笑うだろうか。





「変わらねェな、ルフィ!

 とにかくコレじゃ話もできねェ。

 後で追うからお前ら逃げろ!

 こいつらはおれが止めといてやる!

 もおれが連れて行く…行けっ!!!」





おれの言葉に頷いたルフィは仲間と共に走り出す。

遠ざかる足音を聞きながら 言う。





「おい。“鷹の子”の名を持つお前がなんて有様だよ。」

「うっせぇ!その名前で呼ぶんじゃねぇよ!!!」

「暴れるな。」

「ぐぇ!…脇腹を肘で叩くなよ!!

 セクハラで訴えるぞスモーカー君!!!」





はキッ!とスモーカーを睨むと再びジタバタ暴れ出した。

その姿が少し可愛いと思ってしまったことは心にしまっておくとして。

再びスモーカーに脇腹を肘で叩かれた時に悲劇は起きた。







ビリッ!!!!







「「「……………。」」」









が掴んだスモーカーのズボンが太ももから盛大に破かれた。

…パンツが少し見えている。

うっかり「黒か!」とか思ってしまった。







「……くっ黒が似合うね、スモーカー君!!」

「うるせェっ!」





ベシンっ!!





「ぎゃあ!いてぇ!!

 地面に叩きつけることねぇだろーが!!!」

「ぶわははははは!!!」

「「笑うなエースっっっ!!!」」







くっくっく!!

本当に威勢のいい女だ!ますます気に入ったぜ!!

おれは体を炎に変えてを抱き、再び元の位置に戻って左腕を天へかざす。





は返してもらった!じゃーな!!」

「スモーカー君!次も黒で頼むよ!!」

「まて・・っ!?」





ゴウッ!!!





「くっ…炎上網か……!!」





海軍を残し、を横抱きにしてその場を去る。

しばし見つめ合ったが、どちらからというわけでもなく噴き出し声を上げて笑った。

でも少しだけの体が震えている事と彼女がおれを掴む手が妙に強かった事。

それだけは見逃さなかった。




























































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