ルフィはある意味強運の持ち主だと俺は思う。 何故ならば。 「たしぎィ!そいつを抑えろ!! “麦わら”と“鷹の子”だァ!!」 「し…仕留めます!!」 ローグタウンにいる筈の海軍本部大佐、スモーカー君と たしぎ曹長だったかな? ローグタウンに居る筈の2人とこんな所で会うなんてね。 しかも俺の顔も知ってるときたもんだ。 ハァ…面倒くさいなぁ。 ため息をつきながらルフィはたしぎさんの剣を避け、屋根の上へ駆け上がる。 俺も続いて屋根の上へ上がったんだけど、煙男のスモーカー君も追って来た。 あーあー…海兵達を招集しちゃったよ…。 これは早く船に戻らねぇとな。 「“ホワイト・スネーク”!!」 ボウン!と言う音を出しながらスモーカー君は左腕を煙に変えて まるでロケットの煙のように伸ばしてルフィを捕まえようとする。 が、それに気付いたルフィがスピードを加速して何とか逃れる。 そんな追いかけっこを繰り返している間に海兵が集まり街中を駆け巡る。 あぁもう!本当に面倒くさい!! おれは柄を握り、くるりと振り向き、勢いよく相棒を抜く。 ズバババンッ!!!! 「な…なんだコイツ!? あんな離れた所から仲間を斬ったぞ!?」 「ルフィ!先に行け!!」 「!?」 「最近あんま動いてねぇから準備運動してくよ。 …皆その辺にいる筈だ。 お前の強運を信じて走ってりゃー合流出来る…ハズ!!」 「…わかった!早く来いよ!!」 更に加速するルフィの声を背中に受けながら片手を上げて返事をする。 「逃がすか!!」 ボウン!と再び体を煙に変えて俺の頭を飛び越えようとするスモーカー君。 ガキンっ!!! 「行かせねぇよ。」 刀の鞘を彼の十手に引っ掛けて動きを止めた。 「……お前等、麦わらを追え。」 「「はいっ!!」」 「いや、だからさ…。」 俺は刀を振り上げ少し力を込めて振り下ろす。 ズバンっ!! 「行かせねぇって言ってるだろ?」 倒れた仲間を見て動揺する海兵達とスモーカー君にニィっと笑いかける。 スモーカー君は俺を睨みながら一つ後ろへ飛び 「“ホワイト・ブロー”!!」 彼の拳が飛んでくる。 俺はタンッと大地を蹴って軽く避ける。 そのまま刀を振り上げて“かまいたち”を飛ばす。 が、やはり煙の彼に効くわけもなく。 体の全てを煙に変えて俺の元へ飛んできた。 でもそう簡単に捕まってやる程、俺は安い女じゃねぇんだよ。 俺は鞘と刀を頭上でクロスさせてそのまま振り下ろす。 ザン!という音を立ててると スモーカー君の手の平から出た赤い血が宙を舞った。 「何!?」 「ふん!残念でした!!」 自分の手が斬られたことに驚いているスモーカー君に 着地しながら刀を収め、ベェ!と舌を出して声をかけると 彼は更に怒りを露わにして飛びかかってくる。 おおっと!捕まってたまるかよ!! ひょいっと避けながら後ろに飛び、くるりと向きを変えて走り出す。 さて、そろそろ行かないとな。 スモーカー君と遊んでたら海兵達はルフィを追っていっちまったしな。 「待て!“鷹の子”!!」 「だぁぁああ!もう!!その名前で呼ぶんじゃねぇよ!!! 俺には“”って名前があるんだよ!!」 あぁ腹立つ!! 真っ二つにしてやろうかとも思ったけど合流するのが先だと思ってやめた。 …それにルフィは殺しとか好きそうじゃねぇしな。 「ははは!威勢のいいお嬢さんだな!」 俺が怒りをスピードに乗せて走っていると どこからともなく炎が飛んできた。 と思ったら突然体が“くの字”に折れ、知らない男の腕に抱えられていた。 え、何これ誰これ? 驚きながら顔を上げると 飛び込んできたのは背中の“白ひげ”のマークとオレンジ色のカウボーイハット。 黒髪で上半身裸の男は笑いながら俺を見ている。 「さ、ルフィの元へ急ごうか!」 「はぁ!?」 「待て!!」 わけもわからず男は屋根の上へ舞う。 道中、体が炎になったことを俺は見逃さなかった。 男の名前はポートガス・D・エース。 エースは俺を下ろすことなく走り出した。 << BACK NEXT >> |