さん…じっとしててくれないかしら…?」

「わ…わかってる!わかってるんだけど…。」



キュキュキュー…



「ぎゃははははは!!!無理っ!マジでくすぐったいっ!!!」

「もう終わったから、包帯巻くわ。」

「ぎゃぁ!ビビ、ソフトに巻くな!!

 いっそひと思いにグルグル巻けーーー!!!!」

「どんだけ敏感肌なのよアンタ…。」





Mr.2というオフィサーエージェント対策が今なされている。

大柄のオカマで白鳥を肩に乗せ、背中に“おかま道”と書かれているマントを羽織った

“マネマネの実”の能力者らしく、

なんでも“似る”なんてレベルではなく、“同じ”なんだとか。

体もそっくりになるらしいから俺達は左腕に×印を書き、

その上から包帯を巻くという二段構えの対策を実行。

少しでも仲間を疑ったら包帯を取って“印”を見せ合う。

それが出来なきゃニセ物ってこと。

これを考えたのがゾロって所が凄いよな。

例え雨の降らないアラバスタでも近々絶対雨が降ると俺は睨んでいる。

で、俺が1人でやろうとしたんだけど、あまりのくすぐったさに敗北。

ビビに頼んで冒頭に戻るってワケだ。

気付けば港に近づき、西の入江に船を隠すこととなった。

俺達は自然と円陣を組む。

そして誰が言うわけでもなく左腕をドンっと伸ばし、拳を突き合わせ

ルフィが言う。





「よし!とにかく、これから何が起こっても左腕のこれが…」















「仲間の印だ!!!」















高まる緊張感。

久々の上陸に対する高揚感。





「じゃあ、上陸するぞ!!メシ屋へ!!!

 …あとアラバスタ。」

「「「「「「「「ついでかよっ!!!!」」」」」」」」





見事にルフィがぶち壊してくれました。

ルフィに向かってウソップやナミがこれからの行動に忠告をしている。

そんな姿を微笑ましく思いながら、左腕を嬉しそうに握るビビに声をかける。





「ビビ、拳出せ。」

「?なぁに、さん?」





俺はビビの出した拳に自分の拳をゴツンとぶつける。















「俺の命…お前に預ける。」















「――――――― っ!!!」

「あ、でも少しぐらいは残しといてくれると嬉しいかも。」

「…ぷっ!約束するわ。」





ビビにつられて俺も笑う。





「でさ、この町って一体どのへんんんんん!!?!?」

「メ――シ――屋〜〜〜〜〜〜っ!!!!」


「「「「ちょっと待てーーーー!!!!」」」」





ビビに現在地を聞こうとしたら、話終わる前にルフィに捕まり

しっかりと脇に抱えられて船を飛び降りた。

よっぽど腹が減っていたらしく、滝の様な涙を流しながら全力疾走している。

ゆ…揺れがすきっ腹に響く……っ!!





「ルフィ!降ろせ!!揺れが…っ!!!」

「何だろうな?変なにおいが邪魔してるぞ?」





聞いちゃいねぇし…。

ルフィは鼻をブタの様にでかくしてメシ屋の匂いを探している。

俺はもう諦めて素直にルフィに身を預けた。

…ら。





「あった!!あれはメシ屋だ!!!

 やっほーーーーう!!!」

「ぎゃぁぁあ!いてぇぇえええ!!!」





メシ屋を見つけ、両腕を伸ばして“ゴムゴムのロケット”で飛んで行ってしまった。

その被害にあったのが、地面に腹から落ちた俺ってワケ。

あーあ。自分で掴んでおいて落とすってどんだけだよ。

サンジなら絶対こんなことしないのにな。

そんなことを思いながら服に付いた汚れを手で払いながら歩いてメシ屋に入ると

それなりに賑わっている店内に何故か大きな穴。

まぁ、ルフィが壊したんだろうけどさ。

穴の開いた壁の横のカウンター席でガツガツと飯を食っているルフィを見つけ

一つ溜息をつき、ルフィから2席開けた所に腰を下ろす。





「おいルフィ。店を破壊してんじゃねぇよ。」

「ふぉふぃあぼぼうも!!!」

「はいはい。俺も食うよ。おじさん、何でもいいから飯。」

「あ…あぁ…。君、この子の知り合い?」





多分「お前も食え」って言ってるのだろうから飯を注文すると

店主と思われる男が冷や汗ダラダラで俺に尋ねる。

頭に?を浮かべながら肯定するとますますしどろもどろになった。

それでも飯を出してくれる彼を見て変な店主だと思った。

あ、でもこの飯は美味い!

さすがに何日も食ってなかったから平静を装っても腹は正直なようで。

俺はガツガツと飯を口に入れた。

飯に夢中になっているルフィと俺の間に気付けば何皿も積まれている。

あー席空けてよかった。

そんな事を思いながら飯を頬張っていると





「麦わらァァア!!!!」





緑頭で葉巻を二本加えたガタイのいい男が穴から勢いよく入って来た。

あれ?アイツは確か…。

奴を思い出したルフィは急いで飯をかき集め、口に含み何か言いながら俺を見る。

はいはい、今捕まったらマズイもんな。

俺は最後の一口を口に運んでルフィの後を追う。



やれやれ。上陸直後からついてねぇな。

ため息をつきながら船長の背中を追う。



アラバスタ上陸から、数十分後の出来事だった。




























































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