外が賑やかだな。



そう思いながらナミに子守唄を唄っているとバタバタとルフィが部屋へ入ってきた。

いつものノースリーブで外に居たから上着を取りに来たらしい。

当然、ナミは身体を起こして外の様子を聞く。

ルフィは「ケンカだよ」と答えた。

俺はさっきチョッパーが言ってた言葉を思い出し、

「ワポルか?」と問うと、「あぁ。」とだけ答えた。



ワポルって…俺達の船を襲った奴だよな?

確か夢ではこの国の国王だった筈だ。

そうか、ここへ辿り着いてしまったのか…。

ルフィは平気だって言ってたし、あいつが負けるなんて考えられないし。

今回は男共に任せるとしよう。



ルフィがナミのコートを羽織って飛び出し、ナミは再び寝る体制に入った。

そして俺を見て言う。





、もう大丈夫だから、あんたも寝ていいのよ?」

「さっき十分寝たから大丈夫だよ。」

「そう?」





俺が笑って頷くとナミは目を閉じた。

何気なしに外を見ると今だ止むことなく雪が降り続けている。







白い雪が深々と……降り積もる。







俺はたまらず外へ飛び出した。





「なんだ、杖なんかなくても歩けるじゃん。」





さっきはあんなに痛かったのに、今は全く痛みを感じない事に安堵した。

頭の包帯も取ってしまおうかと思ったけれど

皮が剥けたり、腫れたりしてそうだから流石にやめた。



何となく螺旋階段を登ると、上層部の広い部屋へ出た。

大きな窓の様な扉が沢山あるからここから大砲とかで侵入者を狙い撃ちしたんだろうな。

ここは屋根があるから雪の侵入は開いている窓からだけだった。

それでも足首まで雪に囚われた。

俺は開いている窓に足を投げ出して座り、外を眺めた。



一面の雪景色。

聞えるのはルフィ達が暴れる音と風の音。

空を見上げると、分厚い雲がポロポロと雪を零し、

大地はそれを優しく受け入れた。



白い世界は好きだ。

自分の故郷も時期が来れば銀世界になっていたし、

何より愛しいあの人が好んでよく羽織っていた服の色だ。





「ふふ…。こんな柄だったかな…。」





俺は雪に指で記憶に残る服の柄を描いてみた。

寒い日は二人で肌を寄せ合って眠った。

暖かい日は甲板で仲間達と酒を飲み、暑い日は酒を掛け合ったり。

思い出されるあの人との思い出…仕草に笑顔。

気づけば視界はグニャリと歪み、俺の目から流れた雫で雪を溶かした。





何故。

今日はこんなに寂しくなるのか。

あなたが恋しくなるのか。







それはきっと、あの暖かな夢を見たから。







「うっ…くっ……!うぁ…っ!!」







寂しい。

とてつもなく。

あなたの温もりが恋しい。

いつまで私はここに居ればいいの?

また会おうと約束をした人達のために生きようとも思った。











でも、私が一番会いたいのはあなたであって。





あなたに抱きしめてもらい。











流れる涙を拭く事もなく、俺は雪の地面へ身を預ける。

ぐるりと身体を回転させてうつ伏せになり、顔はさっき描いたものへ向ける。





「この想いを聞いたら、怒るんだろうな…。」





ぽつり呟き、笑う。

近くで壁が壊れるような爆音が聞えた。

それでも私の心はこちらへ戻る事はなかった。

心は全て、今は亡きあの人へ向けられていた。

まるで雪の様に深々と降り積もる。











あなたへの 想い。


















































<< BACK   NEXT >>