俺達と戦っていたラパーンが最後に仕掛けた攻撃。

それが雪崩を起こすことだった。

それは今、背を向けて逃げる俺達のすぐ傍まで迫ってきていて。

ラパーンに腹を立てるサンジの指示で少し高くなっている崖へ走る。

…でも間に合わないよ、サンジ。





「…ルフィ、サンジ。先に行け。」

、何言ってんだ!?」





俺は走る足を止め雪崩へ体を向けた。

そして腰に下げた相棒の柄に手をかける。





ちゃん!?」

「こっちを向くな!崖だけを見て走れ!!!」

「「っっ!!!」」





真っ直ぐ雪崩を見据え、声を荒げた俺を見て何を思ったかは知らない。

でも「わかった。」とだけ2人は告げ、足音は遠ざかっていった。

俺は大きく息を吸い、同じ様に大きく吐いた。



大丈夫、俺なら出来る。

何故なら俺は











ミホークの娘なのだから。











ズッ…





俺は全身全霊を込めて右上へ向かって刀を抜き、

更に左手で柄を持ち、まるで巻き割りの様に雪崩へ向かって空を斬る。

数秒すると何かがずれる音がし、ピシピシと雪崩に亀裂が入り







ズバンッ!!!!!







雪崩がラパーン達のいた所まで二つに割れた。





「「……すげェ…。」」

「はぁ…はぁ……つっ!!」





ブシュゥッ!!





!!?」





くそ…!体への負担は半端なかったか!

左肩の傷からついに血が噴き出した。

刀を鞘へ納め、ドクドクと血が流れる傷口を右手で押える。

それでも指の隙間から溢れて止まらない。

俺は痛みを堪えながら崖へ辿り着いた2人の元へ向かう。







…筈だった。









ゴォッ!!!!!





目の前には白い壁。

チクショウ!斬りきれなかった!!

俺に斬られずにすんだ雪崩は容赦なく俺と崖へ辿り着いたルフィとサンジをも襲い、

俺達の体が宙を舞う。

雪崩に飲み込まれずに済んだのはギリギリでジャンプしたから。

それでも避けきれずに宙を舞ってしまった、という訳だ。

足に直撃した雪崩の衝撃は半端なかった。

多分、ヒビが入ったと思う。

こんなことならもっと牛乳を飲んでおけば良かったと呑気に考えてしまった。





、つかまれ!!」





現実に戻ると、ルフィが伸ばした手が目の前にあった。

それと同時に雪崩に足をとられたラパーンボスの子供が視界に入った。

あいつ…!





「親なら目を離すんじゃねぇよ!!」

「えっ?…おい、!?」





俺はルフィの手を右手でどかして空を蹴り、チビラパーンの元へ軌道を変える。

射程範囲に入ると腕を伸ばしてチビラパーンを掴み、

そのまま天高く放り投げた。

あれなら雪崩が止まって柔らかくなった雪の地面に落ちる筈だから大丈夫だろう。

チビラパーンが天高く舞い上がりながら俺を見つめてたから

俺が地に落ちて雪に体が埋まった時に笑いかけたら驚いた顔をしてたよ。







「「ーーーーーーっ!!!!!」」







ルフィとサンジの俺を呼ぶ声が遠くに聞こえた。







ナミを…頼んだぜ?







そう思った瞬間には、何も聞こえなくなっていた。














































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