シャワー室で意識飛ばしてから結構寝ていたらしく、心配して迎えにきたのが ウソップだったお蔭で他のクルー達には俺の流血事件はバレなかった。 医者を探し始めてちょうど一日経った時、「ワポル」と名乗る偏食人間に船が襲われた。 襲われた時、俺はビビ・カルーと一緒にナミの傍に居たから顔は見ていない。 あいつらに任せておけば大丈夫だろうし、何より体調が万全じゃないからね。 今回はお休みってことで。 そんなこんなで気付けば日は暮れ、夜はナミの指示なしで航海は出来ないから 錨を降ろして朝を迎えることにした。 飯はもちろん、寝るのも全員ナミのいる部屋で。 当然なんだけど…何だかこいつらの温かさを身に染みて感じた。 ……いいな、この感じ。 俺が温くなった桶の水を変え、ナミの元へ戻ると彼女は汗びっしょりで体を起していた。 「…こいつらも可愛い所あるよな。」 「…………。」 桶を枕元の椅子に置いてそういうと、ナミは少し困ったように… でも、嬉そうに笑った。 俺もそれに笑って返事をして温くなったタオルを変え、布団に寝させた。 「ほら、まだ寝とけって。 子守唄でも唄っててやるから。」 そう言うとナミは「ありがと」と弱々しく言い、布団を頭から被った。 その行動に自然と笑い、静かに子守唄を紡ぎ始めた。 椅子に腰掛け、時々タオルを変えながら唄い続けた。 ナミが安心して寝れますように。 ナミの苦しみが少しでも楽になりますように。 気付けば外は明るくなっていた。 「、寝なくて大丈夫か?」 「うん。さっき少し寝たし、大丈夫。」 昨日の襲撃でボロボロになった船を直しながら問うウソップに 白のフード&ファー付ロングコートに袖を通しながら返事をした。 まぁ…正確にはいつもそんなに寝てないから平気…なんだけど。 力なく笑うとウソップはそれ以上何も聞かなかった。 ここの所安定して寒くなったから『冬島』が近いのだろう。 というビビの予想は見事的中した。 水平線に見えた島は白くて綺麗な島だった。 久々の「島」と大好きな「雪」でテンションが上がってしまった我らが船長は 島の河口に入るや否や、一面の雪に幸せの涙を流している。 「それよりルフィ、お前寒くねェのか?そのカッコで…。」 「ゴムは寒さに強いなんて事はねぇよな?」 「マイナス10℃…。 熊が冬眠の準備を始める温度よ。」 俺達の言葉を聞き、こちらに振り向き「あぁ…」とこぼしたと思ったら 「寒ブっ!!!」 「「「いや遅ェよ!!!」」」 俺・サンジ・ウソップのツッコミがキレイに揃った。 「それで、誰が行く?医者探し。 いや…まず人探しか…。」 寒さで鼻の頭を赤くしたゾロの言葉に 「おれが行く!!」 「おれもだ!!」 「俺も行こうかなー…。」 「よーし、行って来い!!」 名乗りを上げたルフィ・サンジ・俺の後ろで 腕を組んでドーンと胸を張って答えるウソップに思わず噴き出した。 この会話のテンポの良さ!たまんねー!! 声を上げて笑いながら、ウソップの肩を叩き、ナミの元へ行こうとした時。 「そこまでだ。海賊ども。」 「「「「「「!!!」」」」」」 武装した島民達にすっかり囲まれてしまっていた。 何だか雲行き怪しいなー…。 そう思いながら足をとめ、事の成り行きを見守った。 << BACK NEXT >> |