「よく見ろよ!おれのトカゲの勝ちだ!!」 「てめェの目はフシ穴か!? おれのサイの方がでけぇ!!!」 ナミが言うにはトカゲでもサイでもなく恐竜らしいその上で 熱い戦いを繰り広げているゾロとサンジ。 どっちでもいいじゃねェか、と言うルフィに黙ってろとキレイに声をハモらせた。 仲いいんだか悪いんだか…。 俺は思わず噴き出してしまった。 「、てめェ何笑ってやがる!?」 「笑ってねぇよ。サンジ、俺が取った卵でプリン作ってよ!」 「もっちろんだよ〜v」 「やったっ!!!」 俺がしれっとした顔でゾロを否定し、サンジにリクエストすると 顔を緩めまくってサンジは返事をしてくれた。 子供みたいにガッツポーズをして喜ぶとルフィが隣で「しししっ」と笑った。 結局勝負はつかず、必要な分だけ船に乗せろというナミの命令で幕を下ろした。 船を進め、運河に沿って島の西側の出口へ差し掛かった時。 出口の右側にブロギーさん、左側にドリーさんが海に向かって立っていた。 俺達の海賊旗と共に二人のマントが風ではためく。 「この島に来たチビ人間達が…」 「次の島へ辿り着けぬ最大の理由がこの先にある。」 静かに言葉を紡ぐ二人を全員で見上げながら大きな「?」を浮かべた。 潮の風が俺達の間を休むことなく抜けていく。 「お前らは決死で我らの誇りを守ってくれた。」 「ならば我らとて…いかなる敵があろうとも」 「友の 「我らを信じてまっすぐ進め!! たとえ何が起ころうともまっすぐにだ!!!」 「……わかった!真っ直ぐ進むっ!!」 ルフィが二人に返事をする。 何が起こるんだろう。 わからないけど、二人が信じろと言うのならば俺達は裏切るつもりはない。 俺はゴクリと生唾を飲んだ。 「いつかまた会おう。」 「必ず!」 二人の横を通り、背中から声が聞こえた言葉がズシリと心に圧し掛かる。 目頭が熱くなるのを感じたから堪える為に唇を噛んでいるとナミが突然声を荒げた。 彼女の指差す方を見ると、前方の海が膨れ上がってきた! それは海から顔を出すと島一つ分はあるだろう巨大な金魚のような…!? 「舵きって!急いで!!食べられちゃう!!! ウソップ、!早くっ!!!」 慌てるナミの周りでカルーが騒いでいる。 二階の扉の横に背中を預けた俺と、その目の前で 震えながら手すりを握っているウソップはナミの言葉を拒否した。 「戦士達は自分達を信じて進めと言ったんだ。 俺は二人を信じてるよ。なぁウソップ?」 「あぁ、まっすぐ進む!そ…そうだろ、ルフィ!?」 「うん。もちろんだ。」 「バカ言わないでっ!!!」 サラッと言うルフィの返事に再びナミは声を張り上げる。 それでもいつも通りのルフィに俺は器の大きさを感じた。 いつの間にかなくなっていた最後のせんべいをあいつが持っていて、 更にはナミにあげてしまった事に対しては物申したかったけど。 「ナミ、諦めろ。」 「そーそー。何とかなるって!!」 「もルフィみたいな事言ってんじゃないわよ…。」 「ルフィ!!巨人達は信頼出来るんだろうな!?」 「うん。」 「正気!?本当にあの怪物に突っ込んでいくの!!?」 「だめ!もう間に合わないっ!!!!」 バクっ!!!!! 「「「ぎゃぁぁぁぁあああ!!!!」」」 ついには食われて真っ暗になった。 ルフィとウソップの「まっすぐ」と言う言葉がやけにでかく聞こえた。 「うーむ…。蛇に丸のみされる蛙はこんな気持ちなのか…。」 「ふざけてんじゃないわよっ!!!」 「ってぇ!!」 感じた事をそのまま言葉にしたらまたナミに殴られた。 これだけ余裕でいられるのもきっと戦士達のおかげだ。 大丈夫。 俺は二人が撫でてくれた頭にそっと手をおいた。 その瞬間、目の前には光が広がる。 ポーンと再び海へ飛び出た俺達の船。 それはまるで空を飛んでいるかのような感覚だった。 「振り返るなよ!! いくぞ、まっすぐーーーーっ!!!!」 ザバァンっ!と船体が海へ飛び乗る。 戦士達の笑い声が聞こえた気がした。 いつか行こう。エルバフへ。 いつか来よう。この島へ。 いつか会おう。誇り高き戦士達よ。 約束するよ。 エルバフの神と俺の誇りにかけてーーーーー。 << BACK NEXT >> |