「焼・鬼・斬り!!!」

「!!!!?」





ウソップ達のお陰でおれ達は一命を取り留めた。

ナミとビビはミス・バレンタインを仕留めたようだ。

おれは炎と共に刀を構え、

ウソップと共に自爆しようとしているMr.5を斬る。





「燃える刀てのも悪くねぇ…。」





カシン!と刀を鞘に納めながら吐き捨てた。

それと同じ頃、ナミ達の横でドスンとでかい音と共に

巨人のおっさんが体を起こした。





「よォ…命あって何よりだ。」

「…フフ………あぁ。」

「師匠…。」





俯いているから表情は読み取れない。

だが、血溜まりに倒れる友の事を思っているのは何となくわかった。

それを察したのか、ウソップも声をかけた。

おれは柄に手を置き







「残る敵はあと2人か。」







ルフィが向かった森を見ながらぽつり呟いた。





「…!?ねぇ、は!?」

「なに!?」





周りを見渡したナミが慌てて言う。

おれも見渡したが確かに見当たらない。

まさかまだ…!







「うわぁぁぁぁああああ!!!!!」







そう思った瞬間、炎の中から叫び声が聞こえた。





「あの声…じゃねぇか!?」

「もしかして…昔を思い出してしまったのかも…!」





ビビの声に全員がハッとなった。



上陸前に聞いたの過去。

バイキングに襲われ、燃えつくされた。

家も。村人も。家族さえも。





「あのバカ…!」

「ちょっと、ゾロ…!?」





気付けばおれは、炎の中に再び舞い戻っていた。

中は熱気で息苦しい。

アイツ…ただでさえ血吐くほどの咳してたっつーのに、

こんなんじゃ呼吸さえも出来てねぇんじゃないのか!?

そんなことを思った時、を見つけた。

両足をペタンと地面につけ、両手をダランとして空を仰いでいた。

生気すら感じぬその雰囲気におれは急いで駆け寄った。





「おい、!大丈夫か!?」

「……ねぇ…さん…。」

「あぁ!?」

「おれの…せい……っ!」

「―――― っ!!」







ビビの予想は当たっていた。







おれは堪らずの顔を両手で包んだ。





!ここはお前の村じゃねぇ!!」

「おれのせいで姉さんは…っ!」

、目を覚ませ!!」

「うわぁぁぁぁあああ!!!」

っ!」

「やめろ!触るな!

 ……怖いっ…!!!」





はおれの両手首を掴んで逃れようともがく。

溢れる涙は止まることを知らないようだ。







っ!!!!」





名を呼び、おれはの顔に息がかかるくらいに自分の顔を寄せ











「お前の居場所はここだろうが!!!!」











目を見て怒鳴った。

混乱していたはピタリと止まり、おれを見る。









「この船で…“自分の唄を認めさせる”んじゃねぇのかよ…!」









一度止まった涙が、瞳と一緒に動き出す。









…。」









そっと…もう一度名を呼んだ。

すると、おれの手首を握っていた手がスルリと落ちた。









「ぞ……ろ……!」









弱々しい声でおれの名前を呼ぶ。

何度も、何度も。

そしておれの手から顔をスルリと抜き、おれの胸に顔を埋めた。

おっ!おいおいっ!?

突然の出来事に動揺していると、おれの体に震える腕を回してきた。





「ごめん…怖くて動けない…。」

「!…ったく…!」





おれはの体をひょいと持ち上げ、肩に担いだ。

そしてそのまま走り出す。





「ゾロ…肩で腹が痛い…。」

「我慢しろ!!」

「ゾロ…。」

「今度は何だ!?」













「………ありがと…。」













「………っ!!!」





軽い体。細い腕。

一体どこにあんだけの力が眠っているんだか。

背中を伝ってくる手の震えは炎から出るまで止まらなかった。








































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