「うっはー!すげー眺め!!」







こんばんは。です。

今、俺は頭にたんこぶを作ったでっかい鳥の背中から島を見下ろしていたりする。

たんこぶの理由?

そんなの、俺が殴って言う事聞かせたからに決まってるだろ!

島は島と同じぐらいでかい山が2つに、

それよりも小さい火山が何個かあり、あとは木が生い茂っていた。

島の周りの海と空はどこまでも青く、潮の香りが俺の気持ちをより高めた。





「あー、風が気持ちいー!

 お前のお陰だな!ありがと!

 こんな気分、そうそう味わえるもんじゃないからな!!」





そう言ってトカゲの様な肌触りの頭を撫でた。

気を良くしたのか、「ギャア!」と返事をして

ゆっくりと近くの岩肌へ降り立った。

そこにはでっかい鳥の巣があり、中には3個、卵があった。

俺が鳥から降りると、そいつは当然のように卵の上へ乗り、温め始めた。





「お前…母親だったのか!」





驚いて鳥を見ると、フフンと誇らしげに胸を張った(ような気がした。)

俺は笑って鳥の隣に腰を下ろしてサンジの弁当を広げ、

2〜3個箸で取って自分の口に運び、残りの弁当箱を鳥の前に差し出した。





「ほら、やるよ。

 俺のせいで飯食ってないだろ?」





ニッ!と笑って言うと、鳥は俺をしばし見つめ、

ゴクリと喉を鳴らしてガツガツと食べ始めた。

一瞬で空になった弁当箱を横に置いて

俺は改めて島を見渡し空を見上げた。





「…あなたが空にいるとは思っていないけど。」





それでも、空にいて欲しいという願いを込めて俺は息を吸った。





…ねぇ、届いてる?

私の唄。

私は…ここにいるよ。

あなたが私の場所を見失わないように。

ずっとずっと唄い続けるから。

少しでも空に近い場所で…。







消えるように唄い終えた。

少し寂しさの余韻に浸っていると、鳥が俺に頭をすりつけてきた。

こいつなりの励ましなのかな?

そう思うとなんだか嬉しくなった。



礼を言いながら鳥の頭を撫でていると、俺の視界に白いものが入った。

あれは…!!





「特大卵ーーーー!!!」





俺は大喜びで崖を走り降りた。

人間業とは思えない行動に鳥は眼球を飛び出しながら見送った。

絶対欲しい、絶対欲しい、絶対欲しいーーー!!!!

そいでサンジにプリンとオムライス作ってもらうんだ!!

卵の元へ辿り着くと、改めて卵のでかさに感嘆の声を漏らした。

これで何人分作れるんだ!?

ルフィの麦わら帽子ほどの大きさの卵を俺はヒョイと一つ取り、

空になったリュックへ詰め込んだ。

うわっ、パンパン!しかも重てぇー!!





「くそ…負けねぇぞ!!」





そう言いながら何とか踏ん張って立ち上がると、不意に影が差した。

不思議に思って後を見ると、俺が一緒にいた鳥の何倍もの大トカゲ…

(いや、羽根があるから鳥になるのか?)が大口開けて俺の上を飛んでいた。





「もしかしてこいつの親か?」





そう問うと大トカゲはギャア!と耳鳴りのように叫ぶと俺に襲いかかってきた。





「悪ぃけど、お前には何の恩義もねぇからな。

 こいつはもらってくぜ!」





そう言いながら俺は膝を曲げてしゃがみ込み

全体重を足に集中させて地に両手を付き、思いっきり蹴って飛んだ。

ついでにこいつも食糧として持って帰ろう。

そう決心し、俺は右手に拳をつくって腹めがけて振り上げた。







「うぉぉぉおお!!しょーりゅーけーーん!!!!」







ズドォォォォオン!!!!!







拳が食い込む腹からミシミシという音がし、

ガハッ!と胃液の様なものを吐きながら大トカゲは白目を向いた。





「よっしゃ!晩飯ゲットー!!」





俺が思わず声を上げると、上から見ていた鳥がギャアギャア騒いでいる。

ん?なんだ??

頭に?が浮かぶと同時に俺の体は重力に引っ張られ

大地へ向かって下り始めた。





「うそぉぉぉぉぉおおお!!?」





景色が全部上へ向かって流れていく。

ヤバイ!このままじゃ俺、寿命じゃなくて事故死になっちまう!!

つーか鳥!こんな時こそ助けてくれよー!!

そんな思いもわが身可愛い野生動物に通じる筈もない。

俺は焦って大トカゲの足を勢いよく引っ張り自分の下に持ってきた。

そしてその上に乗り、必至にしがみ付いた。

それでも落下が止まる訳はなく。









「ギンさ−ん!!たーすーけーてぇーーー!!!!」









涙を空に奪われながら、いないとわかっている空に向かって叫んでいた。








































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