ギャァギャァとトカゲのような形をした鳥が鳴いている。 密林のジャングルから現れた巨大な虎は突然血まみれで絶命し、 どこからか火山噴火の音が聞こえる。 ジャングルを流れる川に沿って俺達の船は進んでゆく。 『リトルガーデン』上陸。 「まさかルフィと一緒にビビも冒険に行くとはな! あ、サンジさん、俺も弁当!!」 「ちゃんも行くのかぃ?」 「うん。あの鳥の背中に乗ってみてぇ!」 俺用の弁当を用意しながら聞いてくるサンジさんに 俺はでかい鳥を指しながら笑顔で答えた。 「…あんたルフィに感化されてない? わかってるとは思うけど、あんたも一応女なのよ!?」 「俺の性別なんてちゃんとわかってるって! でも女捨ててミホークに育ててもらってたってのもあるけど なんて言うのかなー…血が騒ぐ? それにあんだけ高い所から唄ったら気持ち良さそうじゃね!?」 「感化じゃなくて性分だな、こりゃ…。」 「おぉ!ナイスだウソップ!!ソレだよソレ!!! ってことで、リュック貸して!!」 「何でだよ!?」 手を差し出す俺に素晴らしいツッコミを入れながら リュックを見つけて貸してくれるウソップ。 いやー、本当ここのクルーは面白い奴らばっかだねぇ! リュックを背負って甲板へ出ると、ゾロも首をコキコキ鳴らし 散歩に行くところだった。 「なんだ、お前も行くのか?」 「おぅ!あの鳥に乗ってくる!!」 俺の返事に無言で鳥を見上げるゾロ。 そして俺を見て 「…まぁ…ガンバレ。」 「おい、お前出来ねぇと思ってるだろ!? 片仮名にしたってわかるんだぞ!?」 俺の言葉に吹き出しながらゾロは船を降りた。 俺もそれに続く。 すると、船の上からサンジさんがゾロに食糧採って来いとの指令。 …おぉぉぉお? ゾロの“お前には仕留めなれねぇ獲物を採ってくる”発言に サンジさんのプライドに火がついたらしい。 その流れで二人は狩り勝負をすることになった。 何か火花散ってるんだけど…。 どちらにせよ、この二人ならスゲーの採ってきそうだな。 少しウキウキしながら俺はサンジさんを見上げた。 「サンジさん、俺も何か採ってくるから!」 ニッっと笑うと、サンジさんは“よろしく”とハート付で言ってくれた。 飛んでいる鳥を追いかけながら歩き始めて数分が経った。 あいつらは時々狩りをしているのか、ジャングルに降りては飛び… を繰り返しているのでなかなか追いつかない。 「せめて巣でもわかりゃーいいんだけどなー…。」 そうポツリと呟くと、前に見覚えのある人影が見えた。 「…サンジさん?」 「ちゃん!?」 俺の声に振り向くサンジさんはちょうど煙草に火を付けた所だった。 「…鳥には追いつけそうかい?」 「んー…微妙。サンジさんは美味そうなの見つけた?」 俺は鳥を目で追いかけながら問に答える。 するとサンジさんは首を横に振り少し困った顔をしながら 「つーかさ、そろそろその堅い呼び方何とかならねーかな?」 頭をポリポリ掻きながら 「その…おれだけ壁を感じるというか…。 おれ達はもう仲間なんだし。」 …………。 それもそうだ。 つい癖で呼んでいたけど…そうだよな。 サンジさんだけだもんな、この呼び方。 そんなこと、思ったこともなかった。 俺はふっと笑って 「悪かったな、…サンジ。」 改めて名前を呼んだ。 サンジは何故か少し顔を赤くして… でも、すぐに笑ってくれた。 二人並んで歩き出す。 サンジは煙草の煙を吐く時、必ず俺とは逆の方向に吐いてくれ 気の利く人だなって思った。 そして静かにサンジは俺の名を呼んだ。 「なぁ…ちゃん。 何でこの船に来たんだぃ?」 「―――――っ!!!!」 俺は一瞬顔を強張らせた。 それに気付いたのか、サンジは慌てて 無理に言わなくてもいい、 と言ってくれた。 俺は少し困った顔をしながら 「…大丈夫。」 と答える。 思い出されるあの笑顔。 あの優しさ、温もり。 そして…最後の姿。 俺は溢れる感情を押さえながら少しだけサンジに話始めた。 << BACK NEXT >> |