ルフィとゾロがマジ喧嘩を始めた。 原因は俺とゾロが賞金首達をぶちのめしたからなんだけど…。 ルフィはゾロ一人でやったと思ってるし、どんなに弁解しても信じてくれねぇ。 男同士の喧嘩に他人が首を突っ込むのもあれだしな。 俺は成り行きを見守るという結論に達した。 にしてもコイツ等、本当に強ぇーなー。 “武闘”と“剣術”どっちが強ぇーか決めるみたいだけど。 今の所互角かなー? そう思ってると2人に挟まれて戸惑っているミス・ウェンズテーを見つけた。 「どうしよう…。逃げたいけど…。 今のうちに通っちゃって平気かしら…?」 「どこに逃げるって言うんだ?」 「きゃっ!?」 ルフィとゾロが家に吹っ飛んで大人しくしている隙に彼女の横に立つ。 気配を消して近づいたものだから、彼女はカルガモと一緒に驚いた。 そして戦闘態勢に入った。 「あなた…!」 「おぉっと!今の俺にはアンタと戦う理由がない。 あと、俺をゾロみたいにMs.何とかって呼ぶなよ? 俺にはって名前がある。 それから怪我したくなかったらここから動かないのが身の為だ。」 「……?」 「下手に動くと、アンタも巻き込まれるぞ。」 ハナクソとオレンジみたいにね。 …おや? 今、そのハナクソとオレンジ娘がルフィ達に向かったような…。 そう思った次の瞬間。 「勝負の邪魔だァ!!!」 ドゴォォォオン!!!!! ルフィとゾロに吹っ飛ばされた。 「あーあー、言わんこっちゃない。」 「そんなバカな…!なんて強さ!! こんな奴らがまだグランド・ラインの入口にいるなんて…!」 「あはは!ついでに言うとうちの船の最強はあの2人じゃない。」 「えっ!?」 驚くミス・ウェンズデーとカルガモがこっちを見る。 俺は笑いながら指を指した。 その先では…。 「やめろっ!!!」 「ハぶっ!!!」 「!!!!」 喧嘩を続行しようとしている2人を殴って止めるナミがいた。 「危うく10億ベリー逃すところだったのよ!?」 「…10億ベリー?」 「あなた達…何の話を…。 どうして私を助けてくれたの!?」 「ちょっとね…。…契約をしない?」 「契約…?」 頭にハテナを浮かべる彼女の前でまだ暴れるルフィとゾロを ナミは再び殴って大人しくさせた。 「さっきの言葉の意味…よくわかったわ…。」 「…だろ?」 俺は笑いながら彼女の言葉に返事をした。 ナミの話す契約は俺も聞いていない話だった。 “アラバスタ”という国まで彼女を送り届ける。 その報酬に10億ベリーよこせ、というのがナミの話。 そしてその返事はNo。 今、アラバスタでは暴動が起こっているらしい。 その原因は彼女がいた“バロックワークス”。 奴らが民衆をそそのかして暴動を煽っている真の狙いはアラバスタの乗っ取り。 成程、内乱中なら金もないわな。 …つーか、ミス・ウェンズデーは王女だったのか。 “魅惑の〜”とかこっちが恥ずかしくなる技を繰り出していたのに…。 しかも自らスパイになるとは威勢のいいこった。 人は見かけによらないものだな。 「おい、黒幕って誰なんだ?」 「それは聞かない方がいいわ! あなた達も命を狙われることになる…!!」 ルフィの問に頑なに言うのを断った彼女だが 「とんでもなくヤバイ奴に違いないわ!」と言うナミの言葉に 「ええそうよ!いくらあなた達が強くても 王下七武海の一人“クロコダイル”には決して敵わない!!」 「言ってんじゃねーか……。」 ポン…ポン…ポン…ポン…ポン…ポン…チーン! 何となく全員が近くの家の屋根を見ると、 木魚の音と共にワシ?とラッコ?が顔を見合せて飛んでいった。 …あれってバロックワークスの奴らかな? ってことは俺達は顔がばれちまったってことか。 現に逃げようとしたナミの前で俺達の似顔絵描いてくれたし。 「わー、うまーい!!」って言ったくせに 怒って戻ってくるナミに腹を抱えて笑った。 (クロコダイルかー…。懐かしいなー…。) 昔、ミホークについて行った七武海の集まりの時に会ったことがある。 確かに奴は幼い俺が見ても分かるほど、野心に満ちた顔をしていた。 昔を思い出す俺の横で落ち込むナミ。 まぁ、これが普通の反応だわな。 わくわくしてるルフィとゾロを何となく見ていたら 「ご安心なされぃっ!!」 ミス・ウェンズデーのコスプレをしたラッパのおっさんが現れた。 …結構きついんですけど。 彼の話によると、ボスの名前がバレたなら追手はすぐに来る筈。 だから彼が囮になって俺達を逃がしてくれる、ということ。 「無事に祖国で会いましょう。」 と言う彼の顔は決意に満ちていた。 だが、彼を見送った直後、彼の乗っていた船は爆音と炎に飲まれた。 その炎は大きな壁の如く。 彼の生死は誰もが聞かなくてもわかっていた。 唇を噛んで泣くのを堪えるミス・ウェンズデーを、ナミが船へ連れていく。 燃え盛る炎を見つめて俺は呟いた。 「姫さんは絶対あんたの祖国へ届けるよ…!」 あんたからの頼みだ。 約束は…絶対に守る!! 風に乗ってやってきた船の細かい破片を吸い込んで、 少し咳をしながら、俺は仲間の後を追った。 << BACK NEXT >> |