怒りは隙を作る。 そしてそれは、勝てる戦いを勝てなくする。 昔、首領に言った言葉。 そんなことは今もわかっている。 だけど、今の俺は怒りを鎮めることは難しかったんだ。 「よぅ、ゾロ。」 「…か。 なかなか暴れてくれてるじゃねーか。」 「ぷっ!その言葉、そっくりそのまま返してやるよ。」 屋根の上で戦っていたゾロが地上に戻ってきた。 賞金首共を殴り進んでた所で、偶然合流し、自然と背中を合わせる。 お互いに向かってくる敵を倒しながら言葉を交わす。 「…さっき誰かが叫んでいたことは本当か?」 「ふん、さーね。」 俺の言葉を合図にするように互いの背中を離し、向き合って刀を振り上げた。 ズバンッ!!! お互いの後ろにいた敵を斬って場所を変わる。 そしてそのまま、再び背中を合わせた。 斬っても斬っても減らない敵を相手にしながら、俺は言う。 「…雑魚は俺に任せろ。 ゾロは幹部と思われる奴を頼む。 これが済んだら、お前が聞きたいことに答えれる範囲で答えてやるよ。」 「本当だろうな?」 「…男に二言はねぇ。 つっても、俺は女だけどね。」 そう言って自嘲したように笑って。 「約束は、守るよ。」 視線だけゾロに向けて敵の中に身を投じた。 ゾロが聞いてくることは何となく想像がつく。 俺が本当に“鷹の子”なのか。 だとしたらミホークとどういう関係なのか。 話すことに抵抗はない。 別にあいつのことが嫌いになった訳じゃねーし、隠す理由もない。 ただ…、あいつが最後に俺にしたことに腹を立てるだけだ。 一般人はくだらないと声を揃えて言うだろうが。 …いかん、思い出したら予想通り腹が立ってきた。 俺はその怒りを目の前の敵にぶつけた。 最後の一人を倒したと同時に、ゾロも片付けたようだった。 少し肩で息をしながら、ゾロの元へ行こうかと辺りを見回したら 上からMr.9とMr.8が降ってきた。 俺はニヤリと笑みを浮かべて落とした人物へと顔を向ける。 「上がって来いよ、。 酒でも飲もうぜ?」 言われるがまま、梯子を登りきってゾロの横に腰を降ろす。 「やっと静かな夜になったな。」 「あぁ。 …?今、妙な気配がしなかったか?」 「ゾロも感じたか?」 酒瓶をガチンと合わせて酒を飲む。 共に闘ったからか、お互い気配には敏感だとわかってしまった。 ま、気にせず酒を飲み続けたわけだが。 「で?さっきの約束、忘れてねぇだろうな?」 「当たり前。…何が聞きたい?」 「“鷹の子”。本当か?」 ほらね、当たった。 俺は一口、酒を飲み夜空に浮かぶ月を見つめた。 「…本当だよ。 俺は札付き。通称“鷹の子”。 こんな名前、屈辱でしかないけど懸賞金はなかなかなんだぜ?」 因みに俺の懸賞金は5000万ベリー。 ミホークといた時に付けられたから、もう何年も前のことになる。 少し昔を思い出して視線を足先へ向ける。 すると、妙な連中が、Mr.9達と対峙していた。 「…すまねぇゾロ、続きはまた今度だ。」 「あぁ?何でだ?」 「下…、見てみろよ。」 「……!やべぇ…、ルフィ置きっぱなしだぜ…。」 頃合いを見てルフィを回収しなきゃな。 そんなことを思いつつも、続きを話さずに済んで安堵している自分がいた。 << BACK NEXT >> |