最初の島、『ウイスキーパーク』に上陸した俺達は

何故か島の住人達に歓迎されていた。



船長はメシ20人前を間食し、剣士は飲み比べで10人抜き…。

ちなみに航海士に至っては12人抜き。

コックは20人の娘を一斉に口説き、狙撃手は自分の武勇伝を聞かせている。

そして俺は…。







「お前ら、俺の唄を聞けぇーーーー!!!!」









気持ちよく酔っていた。

程なくしてクルー達がパタパタと寝始めた。

それに合わせて俺もそろそろ寝るとしよう。











暫くして足音で目が覚めた。

あれは…ゾロか。

やっぱりアイツもここの連中は何か変だと睨んでいたか。

俺もバレないように外へ出る。

にしてもコイツ等大丈夫か?

お前らの標的であるクルーが目の前にいるってのに気付きもしねぇ。

まぁ、その方がやりやすいけど。

おぉっと、ゾロの演説が始まったか。

月をバックに建物の上に胡坐かいて…一本の刀を掲げて俺らを見た。

派手な演出だな…格好いいけど。

ゾロの話からするとコイツ等は“バロックワークス”と言う会社の人間らしい。

んでもって全員賞金稼ぎ…か。

ふーん…いかにもって感じだな。

そんな事を考えている間にゾロは隠れ、賞金稼ぎ共による“海賊狩り”ならぬ

“ゾロ狩り”が始まった。

俺は手を出さない方がいいのかどうか…うーむ、悩むとこ…





「あの剣士…たった一人で我々全員と渡り合えるつもりでいるのか。」







ぴくっ!







「とても我々を“バロックワークス”と認識した上での

 発言とは思えんな…。」







ぴくくっ!!



…ごめんギンさん、俺、我慢出来ねぇや。







バキィ!!!







俺は思わず近くにいた男を思いっきり殴った。

男は気持ちいい程吹っ飛び、そして寝た。

周りの賞金稼ぎ共を睨みながら声を荒げる。





「おぃコラ、テメェ等!

 そんなに“バロックワークス”は強いってーのか!?!?

 そんなら会社の名前盾にしてねぇでテメーでかかってきやがれぇ!!!」

「貴様…いつの間に!?」

「最初からいたぜ?

 それに気付かねぇような奴らに、ゾロも俺も負けるわけがねぇんだよ!!」

「ぐぐぐ…!殺せぇぇぇ!!!」

!」

「ヒャハ…!見つけたぜ!!!」





やべ、俺のせいでゾロ見つかっちまった!

でもあいつはきっと大丈夫だろう。

俺は目の前の敵に専念するだけだ!!



次々と太刀筋見え見えで攻撃してくるこいつらを蹴散らせながら前へ進む。

にしても数が多いな。

一人一人を相手にしてると面倒だし…。





「いくか…相棒!!」





俺は腰に下げたゾロよりも短い刀を勢いよく抜いた。

左から右へ。俺が刀を抜いた方向と同じ位置にいた奴らが倒れていく。

仕掛けは特にない。

ただ、勢いよく抜いて生まれた風が当たっただけ。

“かまいたち”って呼ぶ奴もいたっけかな?

何にしろ、これのお陰で半分は減ったな。



俺は剣や銃を向けてくる相手をお構いなしに斬った。

たまに殴ったり蹴ったり。

あ、もちろん殺しちゃいねぇぜ?

腕が落ちてなかったことに安心した頃、不意に誰かが叫んだ。





「あいつ…どっかで見たことあると思ったら“鷹の子”だ!!

 “鷹の目”ミホークの子…“鷹の子”だぁ!!!」

「「「なっ!?!?!?」」」

「―――っ!!」

が…あいつの…?)





俺はだらりと腕を下ろした。

震えが止まらねぇ。

…ムカツク!!





「おい…急に震え…ごはぁ!?!?」





目の前の男を思いっきり殴ってやった。

ムカツク、むかつく、ムーカーツークーーー!!!!

俺は顔を上げて拳を振りまわした。







「てめぇ等ぁ!二度とその名で俺を呼ぶんじゃねぇ!!

 呼んだ奴は…ぶっ飛ばす!!!」

((((もうぶっ飛ばしてますけどーーー!?!?!?))))













気が付くと、俺の周りに血の海が広がっていた。






































<< BACK   NEXT >>