「できません、首領・クリーク!!」













俺は、叫ぶ。

滝のように涙を流しながら。

首領が怒っているのはわかる。

サンジさんは敵だから、殺さなきゃならねぇこともわかってる。

でも…それでも!!







「…あんなに人に優しくされたのは、

 俺は生れて初めてだから…!!

 俺には、この人は殺せません…!!!」







俺は首領を裏切るつもりはねぇ。

今までやってきたことを間違ってるとも思わねぇ。

首領の強さを尊敬してるし、感謝もしてる。

だけど、この人だけは殺せねぇんだ…!







「ギンさん、もう、いい。

 続きは、言わないで…?」







が近づいてくる。

そんなことも構わず、俺は言う。







「あわよくば…!

 この船を見逃すわけにはいかねぇだろうか…!」

「「「!!!!!」」」

「…ギン、ガスマスクを捨てろ。

 てめぇはもう、俺の一味じゃねぇ。」

「首領!!」







こんな俺を、もガッカリしちまうかな?

首領が吠えながら腕に装着した銃砲を俺に向ける。

中身は毒ガス『M・H・5』。

俺は…迷っていた。

そんな時。









ボチャン…!!









俺の前に立っていたが、自分のガスマスクを捨てた。







「…、何の真似だ?」

「首領、ギンさんを殺すつもりなら俺も一緒に殺して下さい。」

!お前、何言って…!?」

「海軍に襲われた時も、ギンさんが犠牲になってくれたから

 首領たちは今、ここにいる!

 ギンさんが助けてくれたから、俺は今ここにいる!!

 昔も…今も!!

 俺は別に、あんたに付いていた訳じゃない。

 俺は…私は!ギンさんがいるから、ここにいる!!!」







肩で息をしながら、顔を肩越しに俺に向ける。

そして、俺の名を呼び、











「死ぬ時は一緒だよ。」











そう言って、笑った。

俺が愛しくて愛しくてたまらない、女の顔で。

きれいな、優しい顔で、は笑った。



どうして、はこんなにバカなんだ。

俺なんかの為に…!

麦わらさんが、阻止しようとしてくれたけど、そんな事は関係ねぇ。









ボチャン…!!!









俺は覚悟を決めた。


































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