静かな夜に 微かに聞こえる 愛の唄… 「何してんだ?」 見張り台へ行くと、 は俺に気付き 俺を、視界に入れた。 「…お前こそ。」 空を見上げ、 寂しそうに唄うは 愛した男を見つめている。 「今日は俺が見張りだよ。 なんでゾロが来る?」 の横に座り、共に空を見ながら 「泣いてんじゃねぇかと思ってよ。」 冗談交じりにそう、呟いてみた。 は「ハハッ」っと笑い、顔を俺に向け 「…もう泣き飽きたよ。」 …なんだよそれ。 そんな泣きそうな顔してるくせに なんで笑う? 「俺にしろよ…」 思わず抱き寄せた俺の腕の中で は一息置き、俺を見つめ 「それは無理だ。」 「…すまん。」 困った顔で笑い、空を見上げ まるでそこにいるかのように 初めて見る女の顔を お前の愛した男に見せた。 「俺にはギンさんだけだ。」 するりと俺の腕から離れ 初めて見る顔で笑った。 …何も言えなかった。 空を見ながら もう聞くことのない お前の唄を お前の横で聴いていた |