私を置いて 一人で逝ってしまった。 「…。」 名前を呼ばれるだけで 幸せだった。 「愛してる。」 もう 呼ばれることも 囁いてくれることはない。 「俺が逝ったら好きなことをすればいい。」 そう言ったあなたの墓の前で 私は唄う。 船を降り 二人で暮らした家の庭にある あなたの墓の前で 私は唄う。 あなたが好きだと言った唄を あなたの為にあるようなこの唄を 「俺の前だと『私』になるんだな。」 そう言って笑ったあなたの顔が 今も瞼に焼き付いている。 …忘れるわけがない。 「「愛してる。」」 あなたの全てを 包み込んでくれた優しさを 忘れられない温もりを 私は愛してる。 あなたの墓の前から離れられない私。 涙を流しながら 喉がつぶれるまで唄う私。 ねぇ、ギンさん? 私、ギンさんのやりたかったことをやるよ。 やれなかったことをやるよ。 だからゴーイング・メリー号に乗ったよ? いつかあなたが乗れと言った、あの船に。 …だけど、やっぱり寂しいよ。 会いたいよ。 寂しくて、寂しくて… 泣かない日はないよ? 寂しくて、寂しくて… あなたの温もりを思い出さない日はないよ? 会いたくて、会いたくて… 会えないってわかってるのに、 あなたの物を持ってる自分がいるよ? …それでも私は あなたの為に 精一杯の人生を、生きようと思う。 だから…。 …だから忘れないで? 私のこと。 忘れないで? あなたと歩いた道。 忘れないで? 私の身も心も、 全てあなたのモノだから… |