sanji


真っ暗な海。

真っ暗な空。





輝いているのは

ぽっかり浮かぶ大きな月と





寂しく唄う、君の顔。






























「…すまん。」







困った顔でそう言った







「気持ちは嬉しいが…」













「俺にはギンさんだけなんだ。」













そっと視線を月へ向けた。



その顔が月の光でくっきりと映える。

















「そんなに好きなのか?」





















…無謀だと思った。





俺達の前で『私』なんて言ったことないし

女みたいな気配は見せない。

毎日と言っていい程聴こえてくるの唄は

いつも、ギンの為に唄ってるんだ。





















「…ばーか!愛してるって言えよ!」















そう笑うの顔。

そんな顔、初めてみたよ。













「…サンジ。」











視線は海へ向け、俺を呼んだ







「言ってくれてありがとう。」







そう呟き、唄う。











唄ってる君が好き。

時折見せる表情が好き。

君の全てが好きだった。



















今はもう

君の唄を聴くこともない…