響き渡る。 途絶えることない 愛の唄… 「よう!俺にも一個くれよ!」 蜜柑をかじる私の元で、屈託のない笑顔を見せる。 力のわりに細い腕。 綺麗なライン。 でも何処から見ても男並に振舞うは、 私の蜜柑を受け取りながら、あぐらをかいて横に座る。 「やっぱナミの蜜柑はうめぇな!」 「ありがと。 ねぇ、なんか唄ってよ!」 私の言葉に笑って返事をし、気持ちよさそうに唄う。 その唄に 何度救われたことかしら。 あの唄に 何度涙を流したことかしら。 「そういや知ってるか!?」 唄い終わって突然雑学を話す。 他愛のない会話。 そんな時でも の女の顔は絶対に現れなかった。 深夜聞こえるの唄。 導かれるように、そこへ行く。 「…、泣いてるの?」 唄をやめ、目をこする。 月に照らされたは、とても綺麗に思えた。 「やっぱダメだな! 会いたくて仕方ない!」 「…会いたくて………。」 初めて見た涙。 初めて見た女の顔。 …私達、友達なのにね…。 響き渡る。 途絶えてしまった 愛の唄…。 |